もりちブログ

多分感想やら妄想やら垂れ流します。偏見と性癖にまみれていますので閲覧注意です。

十二国記のすごいところ

引き続き十二国記、読んでいます。
今は短編集の「丕緒の鳥」を読み終わったところです。
またこの巻末の解説がいいんだな〜!
すごくいいこと言ってる。共感しかない。
ていうか十二国記は総じて解説ページがクオリティ高いので、最後まで読み応えがある。


十二国記を読み進めるなかで、何百回も頭に浮かぶ言葉がある。
小野不由美先生の頭の中ってどうなってるんだろう?」
すごすぎないか?
壮大な虚言が、あたかも本当のように書き連ねられ、まさしくそこに国が存在している。

小野先生がすごすぎて、とにかく絶句しかない。
素人考えだけどフラットに考えて、小説を書こう!となった時にまず大筋のストーリーを決めるよね。
この巻は陽子が主人公で、陽子は異世界からこちらの世界に連れてこられた女の子だけど実は王様で・・・

で、この大筋のストーリーを盛り上げるために、信憑性を高めるために、大筋という一本の線に肉付けしていく。そうやって物語を作っていく。


そのあたりまでは、凡人の私の脳みそでも、まだ先生がやっていることに対して納得できるし、想像できる。
だってストーリーを面白くしようとするなら、そういった密接する部分を深く掘っていくのは大事なことだよね。


十二国記の凄いところは、本来王や麒麟に全く関係のないような、言ってしまえば本編に一切関係ないような部分まで緻密に繊細に本物のように設定を作りだし、それを終始徹底して、それらを前提にした上で物語を描いている事。
すべての設定に一貫性があり、もちろんシリーズの最初と最後で設定に齟齬があるなんてことは一切ないし、それはもはや設定の域を越えて、どこかに存在する国のあるがままの真実を記しているのではないかとすら思えてきてしまう。


特に読んでてなるほどな〜確かにな〜と思った4点。
いやまだまだ沢山あったんだけど。
すぐ思い出せるのが4つだった。


十二国でも国によって海客に対しての扱いが違う。
そして海客は、よくあるラノベと違ってこちらの人々の話す言葉が通じない。何十年住んでいても未だにうまく話す事ができない。


②雁は豊かな国だけども、荒れ始めた柳との国境周辺は暗く町並みも寂しい。
豊かな雁は交通手段も発達している。そして豊かな雁の国の者は皆お金に余裕があるので、馬車?なりなんなりにすぐ乗る。
ただ、発達している反面、隣の国から入ってきたような貧しい者たちが乗れるような乗り物はない。
なので、馬車or徒歩というかなりのレベル差のある二択になってしまう。
そして宿もグレードが高く、貧乏民には敷居が高いので妖魔がでるような荒れた隣国へわざわざ宿をとらねばならない。

③本編にまったく関係ないような役職の人たちが、ちゃんと生きている。
存在して、考えて、日々を生きている。
物語を動かすため都合よく作られた者たちではない。個人個人が意思を持っている。
それくらい、自然に作り込まれている。
丕緒の鳥しかり、風信しかり)


④王宮での異変が、ゆるやかに下層へ広がってゆく。
王が道を外したとき、すぐには伝わらず、ゆるやかにゆるやかに影響が広がっていくさまがあまりにも自然。



とにかく、読みながら随所随所で舌を巻いてしまう。すげーや。
次巻が楽しみでありんす。